八方の名人・達人ってなに?
八方尾根にオリジナルの検定があるって本当?
今回はそんな疑問にお答えします。
八方尾根のオリジナル検定「名人・達人」
八方尾根のスキー検定1級・2級は他とくらべて難しいので有名です。
で、難しいのはまぁ一目瞭然ではあるんですけど
「そんなに難しくて他のスキー場とかけ離れてるなら、八方独自の級でも作ればいいじゃない?」
って意見も当然出ますよね(笑)
実はあるんです、そんな検定が。
それが八方尾根オリジナル検定「八方の名人・達人」。
通称、達人検定です。
「八方の名人・達人」検定に合格すると?!
という訳で、現役”八方の名人”がこの検定の紹介をしていきたいと思います。
正直自分はSAJの検定は少し門外漢なところもありますが、この検定については何度も受けた経験があり、かついちおう合格者なので(笑)
まずまず説得力はあると思います。
ちなみにこの検定に合格すると、写真に見えている後ろのボードに名前が載ります。
八方ではプライズテストに合格しても名前は載らないので、それを考えると名門・八方のスクールに名前が載るのは正直ちょっと嬉しいです😁
「八方の名人・達人」検定とは
ものすごく簡単に言ってしまうと、この検定は「八方尾根スキー場のどこでも上手く楽しく滑れる人」を見極める検定です。
で、めっちゃ上手い人が「達人」。
まぁまぁ上手い人が「名人」。
普通の人は「凡人」です(笑)
凡人は認定証はありません😅
そしてこの検定のもっとも個性的なところは、その種目も含めた内容にあります。
1.決まった検定バーンがない
SAJの検定では基本的に検定のバーンが決まっていますが、この達人検定には決まったバーンなどありません。
2.選択されるバーンがハード
達人検定のバーンは当日のゲレンデのコンディションと検定員の好み(笑)によって決まりますが、選択に一定の基準があります。
それは「当日のゲレンデで最も難しくて面白そうなバーンはどこか?」というもの。
「この難しいバーンをいかに滑りこなしてくれるか、それを見せて貰いたい!」ってことなんでしょう。
必然的に選ばれるのはほとんどが不整地斜面となります。
名うての八方尾根なので、最上部のグラートから下部の国際まで、不整地(しかも急斜面)には事欠きません(笑)
また整地種目も少しあったりしますが、これも選ばれるのはゲレンデ内で1、2を争う急斜面です。
例をあげるとセントラルやオリンピックコースⅡ(通称たてっこ)。
これらはプライズテストが行われる、うすばの急斜面や名木山の中壁より断然斜度が急です。
コブ斜面も北尾根のコブや国際のコブ、名木山の大壁など、下部のカチカチのコブ斜面が多く選ばれます。
3.種目がハード
バーンがハードなら種目もハードです。
不整地の急斜面が多いと書きましたが、ここで指定される種目はだいたい大回りやフリー滑走(総滑)です。
テクニカル・クラウンのプライズテストに、以前は「不整地大回り」の種目がありましたが、これをいろんなバーンで何回もやる感じです。
しかもフリー滑走の場合だと当然リズム変化を入れないといけません(笑)
例をあげると、フリー滑走でオリンピックコースⅡの上から下までやったり、コブだとうさぎ平新コースの上から下までやったことがあります。
スタート地点からは検定員が豆粒みたいに小さく見えますよ(笑)
あと、今はあんまり無いんですが、以前は超ロングコース滑走ってのがありました。
まずはウォーミングアップにリーゼンコース一気降りとかね。
黒菱の上部~スカイラインのリフト乗り場までとか。
個人的にやったので一番長かったのは、パノラマの上から~オリンピックコースⅡを降りて~国際第一ペアの乗り場まで、ってヤツでした(笑)
検定員が何人か途中に立って見てるんですよ(笑)
今は検定員をそんなに多くかけずにやってるので、あんまりこの種目はやってないみたいですが。
4.種目が多い
達人検定は種目が多いです。
その日の参加人数や気象条件にもよりますが、だいたい10種目くらいやります。
で、先に書いたように滑走距離が長い上に種目が多いんで、とにかく時間がかかるんです。
朝10時に検定開始して、終わるのが15時過ぎ、ってことも普通にあります。
その間、途中でトイレ休憩はありますが、お昼の休憩はありません。
ほぼず~っと滑りっぱなしです。
この検定を受けると、1日フリーで滑るよりグッタリします😅
名人・達人検定の種目の例
で、実際にどんなトコ滑るの?って興味がわきますよね。
それでは、達人検定で実際にあった種目をご紹介します。
まずは定番種目のひとつ、グラートの不整地斜面大回りまたはフリー滑走
そこからの流れでやることの多い、
黒菱のペアリフト横不整地、中回りまたはフリー滑走
裏黒菱フリー滑走
検定員のいる場所が見えますか?滑っていったところのちょっと棚になっている部分です。
ほとんど豆粒です(笑)
もちろんあそこまで一気滑りです。
コブ。黒菱の上から下まで。
雪が柔らかかったので、これでも種目としては簡単な方でした。
うさぎ新コースの不整地フリー
見にくいですが、全面コブになっています。ここでフリー(総滑)です。
もちろん上から下まで(笑)
兎アルペンクワッドと兎ペアの間のレーン、小回り
狭く、地形の起伏がけっこうあるこのラインで小回り。斜度もかなりあります。
もちろん上から下(以下略)
整地種目。セントラルの急斜面側小回り
八方を代表する超急斜面での小回り。フリー滑走の時もあります。
名うての整地の急斜面が豊富にあるのも八方尾根の特徴なので、名人・達人はここでも上手くないといけないのです。
コブ。北尾根の最下部のコブ上から下まで。
だいたいいつもカチカチのコブ。しかも片斜面でリズムが非常にとりづらい。
まず基礎の検定では使われないタイプのコブですが名人・達人は(以下略
国際第一ペア、スキーヤーズライトのブッシュ地帯、フリー滑走
ここの場所がわかりますか?
分かっても滑ったことのない人がほとんどだと思います。
雪不足で滑れない年も多いこの場所ですが、ここを検定に使うってのが達人検定のトンデモなさです(笑)
以上が、実際にあった検定種目の1例です。
名人・達人検定の無茶ぶり加減が少しは伝わりましたでしょうか?
はっきいってめっちゃ疲れます😅
名人・達人検定に合格するには?
達人検定を受けると、毎回手渡されるものがあります。
これがこの「八方尾根スキースクール校訓」
”型を習ってはこれを実施に応用し
これを繰り返し、雪を 読み取り、
地形を利用する経験を積むうちに、
各自の個性に根ざした滑りスタイルが生まれ育ってきます。
八方のスキー学校と緩急さまざまな、他にはない長いコース、
そして偉大な景観は、
真のスキーヤーを育て、スキーの楽しみを教えてくれるでしょう”
八方尾根スキースクール名誉校長である福岡孝行氏の言葉だそうです。
これを必ず渡されるんですね。
そして検定の際にいつも検定員の方が言うことは、
「スキーは楽しくなくっちゃあいけない」
「名人・達人なら、どんなところでも楽しそうに滑ってください」
つまりスキー場のどんなところでも楽しんで滑れること。
それには技術はもちろんですが、何より豊富な滑走経験が必要になります。
ジャッジの基準
SAJやSIAの検定では、滑りに点数を付けてジャッジするのが一般的ですが、達人検定のジャッジは、それとは違っていて、かなり個性的な感じです。
具体的には、検定員がメモを持っていて、それに滑りの印象を書き込むんです。
で、その書き方っていうのが「×、△、○、◎」。
これはイマイチだな~って感じで、×か△
おお上手い。で○
これは素晴らしい!で◎
って感じみたいです(笑)
最終的に○や◎がいくつ以上かで名人か達人かが決まるようです。
検定員の方が書いたレポートがあったので、こちらも参考にしてみてください。
八方の名人・達人、スキー動画
当HAKUBA.LaboのYouTubeチャンネルでも、いくつか達人検定の動画を公開しています。
実際の受験者や、名人・達人の滑りをぜひ映像でチェックしてみてください!
まとめ:不整地滑走を楽しもう!
という感じで、八方尾根の名人・達人検定についてご紹介しました。
この検定に合格するには、整地ばっかり滑っていたり、不整地と言えばコブ、だけ滑っていては、なかなか難しい感じです。
パウダーの日はもちろんパウダーの急斜面に飛び込み。
なんなら林間のパウダーを求めてツリーランにも貪欲に挑み。
踏み荒らされてもパウダーはパウダー。その荒れ地をあえてスピードを出して大回りで突っ切ったり。
風でパックされたクラスト斜面や、ガチガチに固まった不整地にも果敢に挑んだり。
そしてそれらを「検定に受かりたいから」ではなく、楽しんでやることが大切なのかな、と思います。
実際に楽しいですしね😁
そんな訳で、もしこの検定に興味が湧いた、チャレンジしたい方、いらっしゃったらぜひご連絡ください。
<他の検定の記事はこちら!>
八方の1級・2級検定が動画でわかる!
テクニカル検定(シャルマン火打)の様子は?
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自分の滑りのチェックに使うも良し。楽しい雪山の思い出を作るも良し。
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